数学を解いていて
「どうやったらいいか全然わからない」という瞬間があると思う
どの単元でもそうだが
とにかく初手が見えないと一歩も動けなくなる
多くの場合、この“初手のひらめき”は経験のストックから生まれる
これは前にもブログで書いたとおり
過去に似た形を見ていれば
「あ、これはあのパターンだ」と気づくことができる
だからこそ練習を積み重ねて
頭の中にパターンをためておくことは大事
ただ、それに加えて
別の方法がある
私がよくつかう
名付けて「こうだったらいいのにな理論」だ
問題を目の前にして
「もし〜だったら解けるのにな」と
理想の形を一度想像してみる
たとえば
「ここがもっとシンプルな形だったら楽なのに」
「もし同じ条件がそろっていたら計算しやすいのに」
そんな風に、いったん“理想の姿”に置き換えてみる
もちろん現実の問題はそう簡単には変わらない
でも、不思議なことに
「こうだったらいいのにな」と思った瞬間に
糸口が見えてくることがある
実際に何度も経験をしてきた
そこから実際の問題を
その理想に少しずつ寄せていく発想が生まれるのだ
これは偶然ではなく
ちゃんと意味のあることだと思う
数学の問題は
複雑に見えても本質的には
シンプルな構造に還元できるように作られている
だから“理想の形”を思い描くことは
その本質に近づく作業になる
経験値でストックを増やすことと
「こうだったらいいのにな理論」で発想を広げること
この二つが合わさったとき
初手はぐっと見えやすくなる
生徒にとっても
「分からない=才能がない」ではなく
「分からない=まだ発想のストックが足りないだけ」と
気づけることは安心につながる
そして「理想を仮定する」小さな工夫で
難しい問題に立ち向かう一歩を踏み出せる
初手が見えないときこそ
心の中でつぶやいてみる
──こうだったらいいのにな、と